人を笑っている間に取り返しのつかないことを思い出し、祭りの気分に浸らされる。

トルコ料理を食べる。立て看板は出ている。メニューは分かる。だが、店内は灰色に見える。半分シャッターがまだ開いていないのに、店の前に立ち、時計を見る。姿はすっかり嫌な客だ。小雨が降り続いて今日は寒い。だから友人と早く入れないかな~と待っていると、店の主人がシャッターを開けてくれた。開店時間2分前である。しかも初の来店である。どうだろう。嫌われたかもしれない。

入ってもいいかと声をかけた友人に店の主人が「どうぞ。」と答えた。早速、中に入る。トルコ風の飾りが見える。天井から釣り下がったランプはガラスのモザイクで光っている。壁には青い目の魔除けの飾りも見える。ワインがお勧めなのか、種類が豊富で、説明が書かれた掲示やワインリストもメニューにたくさん載っていた。詳しく知らないが、ワインの美味しいものがあるのだろう。ランチの盛りが肉系ではなく、野菜や豆多めのものにした。レンズ豆のスープやトマト風の煮込み、フムス(なのか?)、風味のあるライス、大きなナスの上に肉や野菜で味を付けた物を乗せて焼いた物、葉っぱに包まれた肉の上にヨーグルトソースがかかっている料理、サラダもある。デザートはトルコアイス、紅茶が付く。安い。最近のケーキセットやランチセットを考えると、このランチはとても安価に感じられた。

店はとても小さい。4人席が二つ、カウンターに数名、残りは私らが座った2人席だったろうか。席に人が全員座るときっと狭い。肩が当たりそうだ。私たちの他にサラリーマンが一人で入って来ては帰って行った。仕事の合間にトルコ料理ランチだとスパイスの香りが付かないだろうか?などと思ったが、味はしても体には匂わないのかもしれないなぁ。インド料理よりいいのかもしれないなぁ。肉食も盛りが大きいのもあって、食べ応えはかなりあるだろう。夜より昼にここに来て肉を食べるのもいいかもしれない。今日は違うけれど。また来ようと思った。

その隣近所にそこの主人がやっているトルコのインテリアグッズの店もあったので、外から覗いてみた。絨毯やランプが見える。店自体は先程の店主に声をかけないと開けられないらしく、閉まっている。買う予定はないので今日は声をかけず外から見て満足して店を後にした。

歩いていると普段何度もランチやお茶をしに来ているところなのに、見たことのない店に遭遇した。あるアニメの世界観を表現したいのだと思われる店だ。ビルの中の上の階にあるし、どうしようかと思っていたが、何せ商店街全体が休みの店が多く、お茶を飲むところが探せない。場違いかもしれないけれど…と思いつつも、エレベーターに乗り込む。出たところにすぐ入口があり、先に注文・精算をしてから入ることになった。思っていたより、明るく広い。平日だったせいか、お客が一組のみいたがほとんど空いていた。街を見下ろせる角のテーブルに腰を下ろした。普段見られない上からの街の景色と開放感のある室内、形にこだわった椅子、隅々までに飾りをして世界観を広げ尽くしているなあと感じた。アニメのキャラクターがあちこちありながら、色彩のせいなのか、とても落ち着いてお茶を飲むことが出来る。この場所を見つけられたのはとてもラッキーじゃないか?たまに音楽会なども開いているらしい。へ~。結局、4時間もの間そこでのんびり過ごしてしまった。

今日に限って早めに閉めるのでラストオーダーになるんですけれど、と声をかけられて店を出ることになった。最初から窓のある角の方へ行ったせいか、反対側を見ていなかった。帰りにお店の人と話をしたら、なんと舞台も作っていると言う。音楽会をやる場所をそう言えば見ていなかったと思い、奥に進むと、そのアニメの世界観を上手く融合した面白い舞台がある。記念写真も撮れるような作りになっていた。著作の権利関係はわからないが、これだけ大きく作っていたらきっと関係者とかなのかもしれないなと友人と話して店を出た。

友人はその舞台で店の人に写真を撮ってもらっていた。どこにも見せるところは無いけれど、と言っていたが家族には見せるのだそうだ。それ位が十分でいいだろう。ポーズを取って、キャラクターに成りきるのは私は出来ない。恥ずかしい。友人は堂々とやっていた。すごいね!と笑いながら写真に撮られる友人を見ていた。が、私は舞台に立てかけてあった箒を見て、大道芸で指名され魔法の箒に乗せられて一緒にびゅんびゅん飛ばされたことがあるのを思い出した。ああ、だからお店の人に誘われても、箒の写真もポーズも勘弁してくれと言ったのだよなぁ。ん?誰かあのとき箒に乗った私を写真に撮っていないと言えるだろうか。気付くのが遅い。今になってか。げっ、やばい。大道芸のその写真、誰かが撮って誰かに見せていないことを祈る。

では今日はこのへんで。