マンゴーキ、ウイパ、イナップ、ルアンズ。そしてウリツー。

雨が降ったり止んだり。空気も乾いたりじめじめしたり。少し晴れ間があったが、隣の畑の草むしりの土埃で窓を閉めてしまった。梅雨の時期だし、この頃の気温差と湿度の違いもあって、体調の変化が激しい。土埃を吸って、ゴホゴホしてしまう。最近の人疲れもあるくせに人恋しい空気もあって、自分はきっと単に体調が悪いのだろうと思う。食欲と睡眠欲を満たすことで何とかなれ~と思って、雨風が弱まったタイミングでどうせなら美味しいケーキを買いに行こうと準備した。

途端になぜかお腹が痛くなる。何か変なもの食べたっけ?よくわからない。こういうふとしたタイミングで起こるのは、たぶん何かしらの下らない予感だったりする。昨日も朝ご飯の途中でふと親との約束を「予定が出来たから」とキャンセルした。そのとき何も予定はなかったのだ。行きたくなくなっただけ。けれど、その後すぐに毛糸をもらい受けに行く連絡が来て予定が入った。親とはキャンセルして良かった結果となる。どちらかと言えば毛糸の予定が優先だった。こんな感じで気分屋の自分に素直に過ごすと、都合よく日々は上手く出来ているのだ。

で、今日はお腹が急に痛くなった。ケーキを想像しても、どうも食べる食欲が失せる。仕方ないので一旦ケーキを買いに行くのを止めて、ピアノを少し弾く。まあ、その程度の腹痛。雨も風も止んでいたタイミングを見計らって出ようとしていたのだが、気分が変わった。それほど強い雨風予報も出てないし、後で行くのでもまあいいや。出るタイミングではないのだろうと思って暫くそのままピアノを弾き込んでいた。

ピアノを集中して弾いて、お腹の痛みも忘れて落ち着いた頃、またケーキを買いに行きたくなる。途中で、もしまた食べたくなくなったら、買わずにそのまま散歩して来よう。それでいいや。傘を持って出かける。雨だ。風だ。だが、そのまま歩いて何もなく、ケーキ屋に着いた。ケーキ屋に行きたかったのには訳がある。少し前、店主が痛い歯を抜く予定で怖いよ~と言っていたので、その後大丈夫だったかどうかも気になっていたのだ。自分の持っているお金の中で何に使うか選択し、買うことで店の応援が出来る。お見舞いがてら花を渡す代わりに、ケーキを買いに行くのだ。この間話していた生のアンズのケーキはあるかなぁ。傘を振って、雨を落として店に入る。

珍しく店主の他に店員がいた。今日は手伝いが誰も他にいなくって、と自分の子どもが手伝いに来たと話す。「子どもの中で一番自分に似ている」らしい。店主がショーケースの前に来ると、店主の子どもは裏方に入って何かしている姿が見えた。ちょうど二人が同じ横向きになったときに、「髪の流れ方が似ている」と言ってしまった。我ながら視点がビミョーだなぁと思うが、店主が笑っていたからまあいいか。そうだよ、結んだ髪先のはね方が瓜二つだったんだって。

今日はマンゴーやパイナップルを使ったケーキを買って帰って来た。マンゴーはどこを切っても美味しくて甘いよ~と言っていた通り、どこを食べても同じ程度に熟していて美味しい。普通なら収穫して置いておいて熟すのを待つのが多い中、収穫せずにそのまま熟しているマンゴーを使っているそうだ。マンゴーの丸ごとの実にナイフを入れるときの感覚は、どこを切っても同じ感覚だったんだろうなぁ。切れた感覚だけで熟し具合もわかるだろうと想像する。最近キウイフルーツを自分で切っていてそう思うのだ。大きさは違うが果物って均等に熟していると甘さも大体均等だからなぁ。マンゴー、旨い。これから時期だねぇ。楽しみになる。

パイナップルパイにはレモングラスを入れて煮込んだパイナップルコンポートが入っている。パイなので食べるのは大変だが、人目を気にせず家で食べるのだから、とがっついてあっという間に食べてしまった。こちらも夏の時期のケーキとしてこれからまたたくさん出てくるのだろう。

残念なのは、アンズのケーキだ。たった今売り切れたと言われたのだ。楽しみにしていたが、また買いに行こう。この時期の短い旬、生アンズはなかなか出回らないからなぁ。逃してしまったのはさっきのお腹の痛みのせいだが、きっとまたその逃したタイミングのおかげで何か面白いことが起こるのだろう。楽しみがどこか勝手に取り置きされて残されているのだ。私はただ気の向くままに今を過ごせばいいだけ。

そうそう。店主は以前よりは元気にしていた。でも、子どもが手伝いに来ていたのは、もしかしたら店主を心配していたからかもしれないなぁ。歯を抜くだけでも大変そうな状態だった上に、その後店を休めないと言っていた。多少は今も無理して店に出ているのだろう。けれどそんな中、常に新作ケーキも作っていて、やっぱりすごい。いい店だ。自分も出来る限り、いい客でいよう。

では今日はこのへんで。