電話は2度鳴る

青い空が見えている。夏日だ。あまり天気のことを話すと自分がどこで何をしているのかわかってしまうので、気を付けているけれど、自分の中で天気は最重要だから書いてしまう。やっぱりぽかぽか、がいい。暑過ぎると途端にノビてしまうけれど、日陰でウトウト出来るくらいがちょうどいい。こんな日はテレビでも見ながらおやつを頬張って過ごすのがいい。いい、いいと言っているのは、この後歌の練習に行かなきゃいけないと思っていて、実際はずっとはここにいられないからだ。いたかったらここにいればいいのに、と思う。けれど練習にも出たい。半分半分、両方の気持ちがあるときは、ひとまず動くことを優先出来るように自分に仕掛けて行く。今日もこの後動き出すぞと。

ところで、昨夜から気になることがあった。電話である。夜8時頃と今朝4時頃に電話が鳴ったのだ。昨夜はたまたま気が付かなかった携帯への公衆電話からの着信。出かけていた家族がスマホを落として、何かあったのでは?という想像をした。なのでとりあえず連絡をするためにメールを入れた。返信がある。けれど、疑心暗鬼になる。これは本当に私の家族から来ているメールなのかどうか。普段目にするキャラクターが入っていない。言葉も何か変だ。もしかして誰か違う人の手元にスマホがあるのか?とさらに疑い、合言葉ではないが二人しか知りえない質問を入れてみた。最初はスルーされたが、暫く後になって、次から次へとその答えに連想するような細かい描写が出て来た。おお~。これは本人だ。メールの中やネット情報で関わっていない、固有名詞も出来た。かなりの確率で本人である。安心したので何があったかをメールして事なきを得る。

家族が無事だったのでほっとするのだが、以前ボランティアの名刺を渡した人のことを思い出して、この時期だし大丈夫だろうか?と心配が過る。けれど、公衆電話からわざわざかけなくてもいいはずだ。スマホからかけるだろう。それに自分が誰だか分からない人が良ければ、私に電話をかける必要はない。私に向けて電話をかけるなら、自身をわかっている人に電話はかけるものだろうから番号無しで公衆電話はあり得ないな、と納得してその人ではないと判定。じゃあ誰だ、となる。

別のところに住んでいる他の家族や、または親が何らかの理由で別の場所から電話を入れて来た?要らん心配をしなくてはならない人がいることに気が付く。きっとそれはありがたいことだろうと思うが。別のところに住んでいる家族は連絡を入れたらすぐに返答が返って来た。これは違うっと。親か?と思って、すぐさま電話を2度ほど入れる。めずらしく留守電にならない。家にいる人と喧嘩をして、もし家を出て途中で電話をして来るなら・・・と勝手に筋書きを描いて想像したが、親が私の携帯番号を覚えているとは思えない。で、親ではないだろうと踏む。じゃあ、まあ、きっと自分には関係ない電話だということだ。きっと間違いか、詐欺か、そんなところだ。

たった一本の電話から始まって、暫く誰だろうと気になっていたが、一応カタがついた気になり、眠った。しかし、明け方目が覚めることとなる。カタがついていなかったのだ。今度は離れたところにある固定電話が鳴った。なぜかそのときパッと目が覚めて、鳴っている音を確認する。出ようと思って動いたが、手に取る前に切れてしまった。家にある電話は、誰がかけて来たのか確認出来ない仕様である。さあどうしようか。

ここからは目が覚めているけれど寝てしまいたい気持ちもあるので、ウツラウツラしながら、ちょっと怖いことを思い始める。最近の事件では明け方近くに押し入る強盗がいたじゃないか。確か、電話を何本か入れて不在かどうか確かめていたりしていたような気がする。電話をかけて来て反応が無いと空き巣のように侵入していたような。あれ?違ったか。強盗だと脅しが入るから、寝室に来て金目の場所を聞くんだっけ?どうだったけな~とだんだん頭の中で凶悪そうな事件を想像していく。まだ朝日も出ていない時間帯に考えることとしては、あまりよろしくない状況である。その気分を変えたくて、遠く耳を澄ますとカラスが鳴き始めている時間である。けれど、遠い。そんなことを思っていたら、急にガタガタッと外の音がする。家に侵入者だったらどうしようか。ぎゃっ。

音は一瞬だけだった。何のことはない。お金の無さそうな古いボロ家に寄りつく悪党などいる訳はないのだ。近所の早起きさんや小動物なんかがちょっと動き始めた時間だ。続けて侵入してくる音などもしないので、まだあと数時間は眠れるから寝よう寝よう。そうだ、もしかしたら昨夜電話を親に2度も入れてしまったから、着信を見て急に電話をかけて来たのかもしれない。きっとそうだ。・・・自分の安心へつながる方を信じたいのが人間である。音の根拠を確認せず、そのまま結局寝てしまった。

7時過ぎ。また電話が鳴る。この時間は絶対に親である。出てみるとやっぱり親だった。「電話した!?」と言う声が飛び込んで来る。もしや朝4時に電話したか聞くと、やはりそうだった。親は4時半にかけたと言ってたが4時だったと言うと、そんなに早かったっけと言われた。どっちみち大差ない。30分の時間の差を納得してもらおうと話している自分もおかしいが、そんなことより朝4時とか早い時間帯に電話をかけるなんて非常識にもほどがあるじゃないか、などと人に心配をさせておいて一方的に思っている自分である。電話で急用があったらそのままかけ続けるからと説明し、そんなに気にしなくていいんだとか言う時点ではいろいろ面倒くさくなって、適当なところで「ハイ、ハーイじゃあね」と電話を切った。

面倒なところは親子そっくりなのだ。気が付いたらすぐに連絡したい性質だ。「何かあったのかと思って心配になった」と言う言葉もそっくりだ。一本の電話を機に起こった今までの私の騒動は棚に上げて書いているが、私は親と同じようなもんであると自覚している。昨夜、外に出かけて人と会っていた家族はたまたま私のメールを見たそうだ。そう、たまたまだ。もしかしたら、見なかったかもしれないし、すぐに返信を出来なかったかもしれないのだ。あれで事が収まったのは、偶然とすぐさま異変に気がついて冷静に対応した家族の協力があったからだ。面倒くさい家族だと思われても仕方がない。それなのに嫌な顔せずに対応してくれる家族に感謝だ。実のところ、面倒がこれ以上増えないよう先手を打って対応されている。素晴らしい。エクセレント。

公衆電話からかけた人はまさか、このページにこんなに長く書かれる事象が起こっていたとは思わないだろうな~。私の日常は小さなきっかけでこんなになるんだよ。また無駄に長くなってしまった。電話はそのとき出るに限る。

では今日はこのへんで。