毎日の生活で大切なこと、それはとてもシンプルなことです。

午前中いろいろ片付けが進まず、約束の時間より大幅に遅れて出かけた。友人が出る発表会に行くので花を買うために少し回り道をする。「お時間大丈夫ですか?」すでにもう大丈夫じゃないから「大丈夫です」と伝え、世間話していたせいかもしれないが、いつもより出来上がりに時間がかかった。

元々花束を予約している先客がいた。かなり大きい。「今日は近くで何かイベントがあるの?同じイベント?」と言われたが、近所じゃないから違うだろう。そんなことを話していると、見覚えのある顔がやって来た。「久しぶり~。」かなり前に歌を一緒にやっていた仲間だった。大きな花束を予約していた。私の花束の5倍くらいある。店主は私の花束を作りかけのまま手を止め、先に渡すだけだからと予約の花束を渡しに出て行ってしまった。お任せで作ってもらうなら、もっと早めに予約しておくのがいいことは重々承知である。小さい花束2つだし、まあいいか。なんて言いつつ、正直なところはそうじゃない。時間かかるな~。しかも他の人に先を越された。失敗した。

仲間が近所で発表会があるのだと言い、私がどこへ行くのか聞かれて答えると、「え!おしゃれな場所に行くんだね~。いいな~。」と言われた。店主からも「若いときは行ったりしていたけれど、近頃は全然行ってないなぁ。」と言われる。おしゃれな場所に行く、などと思っていなかったけれど、二人の言葉を聞き、遅れをとって失敗した気分が何となく勝ち誇ってる気分になった。おしゃれ、とはきっとプラスの言葉なんだろう。私はほとんど使わない言葉だが、他人に与える威力は知っている。案外自分にも効くんだなぁ。

その後、食べられなかった昼食代わりにサンドイッチを買って、急いで電車に乗り込む。こんなときに限ってあちこちで電車が遅延している。どうやら決めていた電車は動いてない。ならば時間がかかっても動いている電車を乗り継いで行くことになる。普段はなぜか生理的にダメで避けている電車に乗り込み、先を急ぐ。乗ったらいつもより空いていて、なんだか空気も良かった。空を見て時間をつぶした。文字と人の顔以外を長く見ているのは久しぶりかもしれない。

あれ?お腹がすいてきた。朝起きるのが遅かったにもかかわらず、なぜいつもより早くお腹がすくんだ?到着したらすぐにロビーで持参したサンドイッチを食べてしまおう。

まぁ、なかなか着かない。距離感もつかめない。どの通りに行けば良かったのだろう。いつもより念入りに地図を確認して来たのに、目印がわからん。外国語ばかりが聞こえてくる。こうやって、普段来ないような場所へちょっと足を延ばして出て行くと、知らない言語を聞くことでコロナ禍じゃなくなったことを思い知る。ここ、どこの国だかわかぁんなーい。どこかの国の美しいお姉さまと店先のガラス窓前に並んで場所を確認する。周りを見回してみると、あちこちで地図を確認している人がいる。なんだここは。みんな迷っているんだ!誰も彼も自分も同じく異邦人みたいなもんだな。いいんだ、迷子になってやるぞ~と思って歩き始めたらすぐに、見覚えのあるビルの前に立っていた。異邦人ごっこ即終了となった。

どうしたものか。一人でうろうろしている小旅行のインパクトが強過ぎて、肝心の演奏会のコメントが書けない。覚えていることには覚えているのだが。一番長く過ごしている人との時間は、空気みたいなものなのかもしれない。吸ったり吐いたりで、当たり前過ぎて気にも留めないのか。ほんわか楽しかったってことだけは書いておこう。あ、あとは、ロビーで食べたサンドイッチがものすごく美味しかったこと。出演が終わったらしき小さな子どもが「お腹空いたよ~」と、親に向かって大声を出しているのを隣のソファで聞きながら食べていた。あの場で自分だけ、空腹を満たしていたのだ。あんなに急いで遠くまで一体私は何をしに行ったのだろう。

では今日はこのへんで。