道で何度も会う人がいる。自分より年上のご婦人で、ボランティア先での知り合いである。知り合いという言葉が適切かわからないが、ご近所ということもあって仲良くさせてもらっている。先日その方から長めの着信が入った。電車の中だったこともありショートメールを出した。その日は知り合いのピアノ発表会に出かけていて、誘ってくれた友人と発表会を聞いてからお茶を飲んで、その後帰るから夕方かなぁ‥と思いメールを再度打つ。この間渡した柿のお返しにまた何か持ってくるのかな?ならば、夕方連絡でもいいなと思っていたのだ。だが、発表会に行く前に友人と待ち合わせをしていた駅で時間が余っていたので、モヤモヤと気になり始めた。そもそも電話である。なぜいつものメールではないのだ?もしかしたらあんなに長めに電話を入れたのは、緊急事態かもしれない・・・。気になって電話を入れることにした。
ちょうど電話をかけるタイミングと同じ位にメールも入っていた。なんと。スポーツ観戦のお誘いだった。当日の夕方からの招待券があり、元々は友人と行くはずだったが友人が急遽来られなくなり、一人で行くのもな~と思って他の友人宅へ電話をかけていたらしい。それでふと顔を知っていてスポーツが好きそうな自分のことを思い出して、電話を入れたとのこと。自分は行ったことの無いスポーツだったので、俄然興味が沸いた。行ってみるか~。
ということで、話をして行くことに。電話を切る少し前に待ち合わせていた友人も到着。「今、電話で3時って言った?」と最初に声をかけられる。友人がこの発表会で目当ての演奏が聞ける時間が3時であった。その日に限ってなぜか時間を聞いていなかったのだ。発表会に誘われたとき、その人物は最初の方の演奏だと勝手に思い込んでいた。ちゃんと確認しなかったことが悔やまれる。予定の思い込みはダメだなぁ。断って演奏を聞くかとも思ったが、なにせ誘われたスポーツ観戦を行くと承諾している自分も珍しいと思う。行きたいなぁと顔に出ていたな。たぶん、それを察知したのだろう。友人が「スポーツ観戦も楽しいよ。なかなかそのチケット取れないから行って来い!」と背中を押され、目当ての人物の演奏まで辿り着かずに、結局2曲前で会場を出ることになってしまった。申し訳ない・・・という気持ちはあったが、普段行かない違った雰囲気の場所へ行くことで頭は一杯になり、もう足早に先へ急いでいた。
開場時間に合わせて待ち合わせしたはずなのだが、予想していたよりもはるかに到着が遅れて、駅も混み込み。人の流れに乗る。会場近くにはキッチンカーも出ていたようだが、あまり土地勘も無い場所だったので、先に駅近くのコンビニで食料を調達してから会場へ行くことにしたのだが、同じようなことを考える人の群れでコンビニも混み込みだった。先にレジに並んだご婦人が、後ろの方で並んでいた自分の方へかごを突き出して「一緒に払おう」と声をかけて来た。周りの人に断って前に進み、買う物をかごに入れてもらったが、ご婦人の後ろにいた若い女の子二人から「割り込みだよね~」と(ちょっと大きな声で)ささやかれてしまったらしい。自分は気が付かなかったが、それを耳にしたご婦人は後で「今の子って、ああいうのが言えるんだねぇ。良いことだねぇ。」と言っていた。今時の若い人は堂々と思ったことを言うことが出来るんだということを褒めていた。「言われたところで昔は気にしたけれど、今自分はオバちゃんだから全然気にならないけどねぇ~、かっかっかっ。」と笑っていた。その行為が割り込みであるか否かは判断が分かれるかもしれないが、その笑い声を聞いてそれほど悪くない行為のような気がした。ごめんよ、若者。君たちより年老いて、動き回るのが遅い弱い生き物だから、少しだけずうずうしく生きているんだ。実際にいろいろと切羽詰まっているんだよ。パッと見、わからないだけで。
若い人の群れの中で、ご婦人と自分の二人は弱者だなぁと感じる。勢いもないし、会場へ向かう丘の上までの階段が長くて大変だった。何とか階段を上り終え会場に着いたが、また更にあるアップダウン。チケットを見ながら座席まで一苦労。チケットの文字が見えない~。老眼鏡はこれから携帯必須かもな。案内の人に聞きながら、あっちこっちへとウロウロしながら向かう。高校生かな?と思う制服のグループ客が多い。修学旅行?本当に若い人ばかりだ。体の小さな小学生も多い。自由席にいる人たちは子どもに席の番をさせて、大人が食べ物の調達に出ているらしい。まぁ、頭の先から足の先までチームカラーだったりする。小さくても立派な応援団だねぇ。座って席を取っている子どもに空いている席を確認して、自分たちも席に着いた。席を確保し、トイレにも行って、ゲームが始まる前までに食べようと思って買ったサンドイッチにかぶりつく。すでにお腹が空いていた。しっかり食べる。まだ先は長い。外は寒かったのに会場内は熱を感じていて、暑いくらいだ。人の応援合戦の熱気がすごいな。今回誘われて詳しく知らず、どちらのチームにも応援するという感じではない自分だったが、それでもかっこいいプレイを見せつけられて、どちらが勝っても負けても気分は盛り上がる。拍手、掛け声。数時間ほどのゲームがあっという間であった。行って良かった~!
帰りは誘われるがまま、最寄り駅の中華屋で晩ご飯を一緒に食べた。ご婦人も一人でよく来ると言っていた。小食だけれど中華の麺類なら時間かけてゆっくり食べられるからと、この店を使っているらしい。普段から夜は中華を食べ、ワインを頼んで一人飲んでいるという。自分は飲まないが、ご婦人はいつも通りワインを頼んでいた。アルコールのせいもあって、ボランティア先の愚痴がたくさん出た。普段それほど長く一緒にいる時間がないこともあって、話が出る出る。自分も、普段は話さない家族の話も話して、ほんの少し気が楽になる。「人それぞれ何が心にひっかかり、気になるかは違うのだから、誰しも何も問題を抱えていないってことは無いね。」などと言いながら、自宅の近所で別れた。
その数日後、道でバッタリ会う回数が増える。普段から動き回っているんだろうな。いつも活動的なんですねと声をかけたら、「いや、それはあなただって同じでしょ。」と返って来た。そりゃそうだ。出会う人というのは同じフィールドにいる人なのだ。全く別の世界の人ではない。きっと、自分と同じようなところで生きている人である。違う世界の素敵な人と知り合いたいなら、その世界に自分が足を運んで行かないとな。
では今日はこのへんで。