潮干狩りで貝ではなくゴミ拾いに熱くなる

家族と潮干狩りに行った。連休の合間の平日だったせいで、人は少ない。貝が昨年のように採れるだろうと思っていたが、全く見つからない。場所を変えてみたが、出て来る貝はなく、出て来てもそのほとんどが小さい貝で採取不可能なサイズばかり。掘っては戻しを繰り返していた。昨年たくさん貝が取れたのはきっとビギナーズラックだったのだろう。

大分時間が過ぎて少々諦めて、疲れた足を伸ばし、熱中するのをやめて立ち上がって周りを見た。近くの水たまりの中で、小さなヤドカリが重なり合って喧嘩している。喧嘩するという姿がピッタリだ。一匹の貝にみんなが乗り上げて中から引きずり出そうとしていた。おおー。自然の生き物。ぼんやりと全体を広く見渡すとあちこちで小さなヤドカリに似た生き物がうごめいている。自分たちはアサリを求めて探していたが、周りでは小さなカニや海藻みたいな生き物、ただただ長い体をしたゴカイ?のような生き物も動き回っている。ヒトデがあちこち転がっている。生き物がたくさんいるんだなーと思う。別に貝を取るのはもういいかな、アサリを掘る手も疲れたし。

そう思って生き物以外に目をやると、ゴミがたくさん落ちていることに気が付いた。貝を掘りながら、落ちていたビニールなんかをスコップ代わりに持っていた小さなプラスチックのカップに集めていたが、どうやらそれでは収まらないようだ。結局持って来ていた少し大きめのゴミ袋に入れたが、ゴミに気を取られていくと、ゴミしか見えなくなって来る。歩いているとゴミばかりが目に留まる。ほとんどがジップが付いたビニール袋。もしかしたら近くにBBQ場があったから、その食材の袋なのだろうか。真新しい物は少なかったから、もしかしたら違うかもしれないが。後は、使ったらしきビニール手袋や箸、デッキブラシの先の部分が丸ごと落ちていたのを拾うと袋は満杯になる。タバコもいろんなところで落ちていた。海岸の出口まで見つけたゴミを拾って行き、ゴミを集めている係の人のところへ手渡して帰宅した。

あんなにゴミが落ちているところで自分たちは貝を探していたのだなぁと思う。見ようとしないと見えない。貝ばかり探していたから、途中はほとんど気が付かなかった。そのままだと最後まで気が付かなかったかもしれない。昨年はどうだったっけ?日記を見直せばもしかしたら書いてあるかもしれないな。まぁ、いい。前は前。今は今。

で、もし、潮干狩りに来た人たちが、最初から貝と同じくらいの量のゴミを拾うという気持ちで海に向かったらどうだろうか。潮干狩りと共にゴミ拾いをするとかなりの量が減るのではないだろうか。貝も住みやすくなるだろうし、砂浜をほんの少し綺麗にすることが出来る。

もし、この文章を読んだ人がいて、今年潮干狩りに行くのなら、貝だけではなく同時にゴミも拾うことを実践して欲しい。大きくて自分ではどうしようもないものまで拾わなくてもいい。自分の身の周りだけでいい。目に映ったゴミを拾ってゴミ箱へ入れるだけでいいのだ。誰かが落としたゴミを拾うなんて、なぜ自分がやらなくてはならないのだ…と思っても、自分自身だって、知らない間に落としていることはあるだろうなと思うから拾うのだ。もしかしたら今まで度々自分の代わりに他の誰かがやってくれていたかもしれないからね。

自分は常々他人が落としたゴミを素手で触るのが怖いなと思っていたので、いつもは見えても拾えないことが多いのだが、今日は潮干狩りの際につけている使い捨ての手袋でつかんだ。汚れがついていたとしても、すでに貝を拾う水の中と同じだ。汚さは同じだ。足も海の水に浸かっている訳だし。そう思うと同じ水の中、砂の上。拾いやすかった。

ゴミを拾ってその場を見ると、気持ちが良い。たったひとつのゴミを拾うだけなのに、その場が美しくなるのは確かなのだ。是非やってみて欲しい。

いつかもっともっと海が汚れて、囲まれている日本の海がどこもかしこもゴミが打ち寄せる海岸になってしまったら怖い。それが怖くなく、平気でいられるとしたら、その海で生きている貝や魚を自分たちが食べて生きているということを案外知らないでいるのかもしれないな。ちょっとゴミが浮かぶ海を見て、自分はオエーっとしてしまうよ。

いつか遠くもない未来で寿司を食べるときに「綺麗な水の中で育った養殖の魚しか食べないヨ」とみんなが言うようになるのかもな。でも、海が自然に育ててくれるはずの魚や生き物だったものを、これから人が苦心して手をかけ、エネルギーを使い、わざわざ育てるような暮らしになるのって、どこか馬鹿らしくないか?

以前なら海が生き物を勝手に育ててくれて、何もしなくても人間に食べ物を提供してくれていたというのに。労働力の無駄も感じる。海で得られるものはそのままに出来なくなって、陸上でそんなことのために働いて、時間に余裕が無くなる生活になるなんて、それでいいのだろうか?時間もお金も労力ももったいないゾ。それとも、海はゴミばかりで綺麗な海には戻らないともう諦めてしまって投げ出した?

話が長くなった。潮干狩りに行ったら、見つけたゴミを出来る限り自分は拾う。海はいつまでもご馳走が勝手に育つ場所であって欲しい。ほんの少しだけ美しくなった砂浜で育った貝は美味しく見えるといいな。アサリも砂を吐き出した頃だ。水を変えよう。

では今日はこのへんで。