箱を選んで、形に合った物をはめ込んで、やっと出来たと思って蓋を閉じたらパッカーンって・・・なったら嫌な夢。

ケーキ屋の手伝いは店主が常に落ち着いていて、安心感がある。昨日も店番と厨房を手伝って来た。ちなみに繁忙期なので少し長い時間勤務することもあり、休憩があるのだが、休憩には賄いが付く。ケーキ屋で賄いが?とまず驚いた。店主のお母さまがたまたまいらしていたこともあって、この間はお母さまの手作り賄いが美しく用意されていた。その日働くスタッフの全員分ある。短時間勤務の人も持ち帰ってと言われているから、勤めているだけで何かおまけがいつも付く。

昨日は美味しい柑橘を頂いた。普段買って食べないから、どうむくのかさえ見分けもつかない。「これ美味しいよ。」と店主からポンと渡された物だが、食べ方を聞いておけば良かったなぁ。最初手でむこうとしたら、とても皮が薄いが硬く、手じゃむけない。ナイフを入れてみた。なぜか刃物は鋭く入る。うちにある刃物なんてガタガタなのに、こんなふうにきれいに入るのか。大きな果実だから半分だけ食べることにしようと思ったのだが、結局美味し過ぎてもう半分も一度に食べてしまった。世の中には美味しい物がまだまだたくさんあるのだなぁ。この柑橘もこれからケーキの材料として店に並ぶのだろう。タルトになるか、パフェのようになるか。ショートケーキになるのか。楽しみである。

ケーキ屋の仕事をしたことがある人のみならず、普段箱詰めされたケーキを見ている人ならわかると思うが、ケーキの箱詰めはとても大変である。箱の中でケーキ等が動かないよう、見栄え良く、傾かないように偏らないように入れ、保冷剤を詰めて行く。箱はいろんなサイズがあるし、売り物であるケーキの形態も様々である。それに合わせて毎回箱詰めをして行くのだが、試作で作ってみた新作のケーキ等、店主のケーキは日々大きさが変わるのでかなり大変な作業だ。お客さまからの要望も様々だから、「これを二つに分けて欲しい。」とか「これは持ち歩く、これはすぐ食べる。」ということにも対応して行かなきゃならない。焼き菓子ひとつ取ってみても、常温の物だけでなく冷蔵用の焼き菓子もあり、同じ箱に詰められない。自宅用と贈答用、それぞれまた違うしなぁ。

要望があったとしても、店主のこだわりもあるので、自分だけの感覚ではすぐにお渡し出来ない。散々ケーキを食べる側の人間として見て来たこともあって、新人にしては上手く詰められているかなぁと自負しているところもある。新人にしては、だけどね。自分が箱を開けたときに「美味しそう」「綺麗だな」と思えるように出来るだけしておきたいと思って、毎回一生懸命詰めているのだ。

そういう何かしらの気付きのようなものは、気が付く人の特権で、どこかわかるわけないと思っていたところがあったが、そうでもないのかもと思うようになった。やはりそういうときにこそ、人から聞く話の中で知って行けばいいのだろうと思う。人の話に耳を傾け、自分の感覚でピンと来なかったら質問して行けばいいのだ。自分が聞いていても何だか漠然としていて、つかめないなぁと思ったことを、自分の感覚に引っかかるまで説明してもらった方がいい。

覚えるのではなく、理解する。なるほど、そうなのか!と思えるまで話を聞く。ちゃんと仕事を教えたい、わかってもらいたいと思っている人なら、時間の許す限り教えてくれるものだ。理由や裏付けのない仕事など無駄な作業だろうと思うし、何かしら聞いたら聞いた分だけ、その相手の気付きも含めて出て来る。新人が質問したことで、意外とそれまでにあった業務の無駄が明確になったりすることもある。新人の目を重要視する職場だってあるものだ。慣れてしまった人には気が付けないことだってあるのだから。

まぁ、自信を持って店の手伝いをしているかと言うと、そうではない。自分の心配性は細かく、かなり続く。「慣れる」ということにいつも時間がかかる。これで大丈夫だろうか?と常に思いながらやっている。だから度々同じことも(同じように見えるような細かい小さなことも)店主に確認しているが、店主はその方がいいと言う。曖昧にして間違ってしまうより、小さなことも確認してもらった方がいいのだと。

小さな店だからこそ、包装のシール一枚、無駄に出来ない。スプーンにひと匙あるかないかのクリームも、ボールに残っているのは捨てる、なんてこともしない。書き損じたメモ一枚、一つ一つ大事なもの。慣れてしまうより、確認をする癖がついている人の方がいいと言われる。仕事が出来るようになるという感じになるまではきっと大分先のことだが、店主がいいと言うのだから心配性のまま続けるつもりだ。無理に自分を他に合わせず、特性を活かしながらのケーキ屋の手伝いは続く。

では今日はこのへんで。