私たちは、近所という世界の共同制作者なのだ。なんてね。

柿が化けて金柑になった。ピアノレッスンから帰って来ると、玄関のノブに袋が掛けられており、中身はたくさんの金柑が詰まっていた。家で全部食べるには多いので、その袋を持って合唱の練習に出向き、仲間に配った。自分もそんなに食べないが、香りを味わうのがとても好きである。柑橘系の自然の香り。柿を配った人からお返しにと、貰うものがいろいろ違っていて、楽しみでもある。暫らくは金柑の香りがテーブルに広がっている。

柿のことで思い出したことがある。先日、柿を受け取ってもらえなかった家の人から、たまたま買い物帰りに自宅に入ったところで挨拶されたのだ。私は気が付かなかったのに、わざわざ後ろから声をかけて来た。「こんにちは」と言われたとき振り返ってみると、こちらが一瞬分からずにいたのを察してくれて、あの家の者ですと指を差している。この間対応したご主人ではなく、奥さまだった。髪型が短くなっていて、少し若く見えて、本当にわからなかった。そのままいつものごとく、すぐ口にしてしまう。「髪を切られていて、すぐわかりませんでした。」「短いのもお似合いですね~。」思わず、見たまま咄嗟に出た言葉だったのだが、嫌な顔をされず、逆に少し照れた表情でにこやかに帰られた。

何だかほっとする。柿を受け取るのを断った、断られた関係である。まぁ、奥さまの方が近所付き合いを気にしているのだろうなぁとは思う。遠目の会釈ではなく、わざわざ声をかけて挨拶してくれたのは、わだかまりがこちらには無いよ~という表れだよなぁと思って、正直嬉しかった。

大した言葉を交わすのではない。挨拶の加減で関係を維持出来る場合もあるし、簡単に切れてしまう場合だってあるのだ。だから、彼女がほんの少し勇気を持って声をかけて来たんだろうと思う。付き合いは切りたくないですよ、もちろんです、今まで通り~、という自分の意思は伝わっていると良いなと思う。

ああ、お腹が空いてきた。短いけれど、今日はこのへんで。